私は2014年から、毎月、山に入って、心を癒し元気にする絵画を描いています。
私の絵画を目にした時に、大自然の空気感を感じとっていただけるような環境づくりを心がけています。
具体的には、古神道の行法を用いてこころを整え、頭を空っぽにして、鳥のさえずりや風の音、雨の音、虫の音や大気など、自然の中に入っていくよう心を傾け、直感的に描いています。
そのような状態で描いた絵画に触れた人たちからは、森林浴のような心地よさやリラクゼーションを感じたり、元気になったりするとの声をいただくようになりました。
元気といえば、箱根神社の社務所前にある「清めの湯」に、このような解説があります。
”「元気」とは、生まれたばかりの瑞々しい生命力あふれる「元来の気」です。
元気になるとは、瑞々しい生命力あふれる元の気に立ちかえることです。”
私も、瑞々しい生命力あふれる元の気に立ちかえるお手伝いをしたいと思い、日々、精進しています。
そのひとつとして、医療現場とアートとのコラボレーションをめざしています。
千葉県松戸市にある恩田歯科クリニック様では、10年ほど前から私の絵画をたくさんとり入れてくださっています。
恩田歯科クリニック様は、先進医療を積極的に導入しながら、次世代につながる安心安全快適な歯科医院として尽力され、2代にわたって地域に愛され続けています。
クリニックに展示されている絵画によって、患者さんの心身の緊張感をほぐすのを助け、明るい気持ちになったなどの多くのご感想が寄せられています。
院長ご夫妻様をはじめスタッフの方々や患者さんに喜んでいただけていることを、心から感謝しています。
こちらの、フルオーダーのご依頼をいただいた待合室の連作は「三世代」をテーマにしています。
1点目:このクリニックの創業者であり前院長ご夫妻様のための絵画「Love」
2点目:そのお子様である現在の院長ご夫妻様とご次男様のための絵画「Creation」
3点目:そして、未来の院長であるお孫様達のための絵画「Eternity」
医療の現場にアートをとり入れていただくことは、幼い頃からの夢でした。
昔、祖母が入院した病室は無機質で冷たく感じられました。
でも、私の描いた絵を貼ってあげたら、祖母が喜んでくれてほんわか暖かくなったのを覚えています。
それがとてもうれしかったことが、その後の人生に大きく影響し、画家になるきっかけにもなりました。
幼かった私は「私の絵を病室に飾ったら、絶対におばあちゃんは元気になるんだ」と信じきり、無心になって描いたのを覚えています。
今、こうして医療の現場やこころの勉強をおこなうセミナールームなどに絵画を取り入れていただき、皆さまのご感想を伺っていると、夢がかなってきているのを感じています。
ここで1点、作品をご紹介させていただきます。
こちらの作品「かはたれどきの言祝ぎ」は、夜明け前の祝福をあらわしています。
「かはたれどき」は、目の前にいる人の顔の判別がつかず、「彼は誰?」と問うような、まだ薄明かりの時間帯を指しています。
「言祝ぎ」は、言葉を使って祝うという意味ですが、ここでは桜の花がそれをあらわしています。
「もうすぐ夜が明けるよ」という祝福の言葉を桜の花に乗せて、富士の彼方へと舞っていく様子が描かれている、縁起のよい絵画です。
富士山は日本を代表する山ですが、日本神話では、山の神は大山祇命、桜の花は此花昨夜姫の象徴とも言われています。
ふたりは親子関係にあたるので、この絵画は親子愛もあらわしています。
医療の現場で患者さん達を支えるのは、ドクターやスタッフはもちろんのこと、親兄弟や子ども達、家族などのサポートが欠かせません。
これらの絵画が病院などのクリニック、セラピーサロンなどに訪れた方々の、心の癒しや元気になるお手伝いとなることを願っています。
また、今後、医療とアートとのコラボレーションが加速化し、ますますよい相乗効果として波及していくことを心から願っています。
例えば、病院の処方箋に薬だけでなくアートが処方される日が来たら、どんなに素敵なことでしょう。
エビデンスさえ整えば実現する可能性は十分あると思っています。
そうなれば、一般の方々にもアーティストにも明るい未来の到来と言えるのではないかと思っています。
第13回日本プライマリ・ケア連合学術大会にて
(2022年6月11・12日 パシフィコ横浜会議センター)